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トレンドコラム
Vol3

「断捨離」や「坐禅」、仏教の知恵を暮らしに活かすには?

ここ数年、ブームになっている「断捨離」。そして、瞑想と同じように、最近は「坐禅」への注目も高まっています。そこで、今回は臨済宗妙心寺派乾徳山恵林寺の住職・古川周賢さんにお話を伺いました。古川住職は、東京大学で博士号をとったあとに仏門に入り、現在は落語家の立川談春師匠とテレビで対談をしたり、慶應MCCで公開講座を開いたりと、禅の考え方を現代に広めている方です。まずは禅ブームの理由と、「断捨離」の本当の意味を教えていただきました。
きのこの免疫力アップ効果に注目した「きのこで菌活。」コラムで身体の調子を整えたら、新年に向けた「断捨離」を。いつもとは違う年明けを迎えられるかもしれません。

 

—————— 教えてくれたひと ——————

古川周賢さん

古川 周賢 (Shuken Furukawa)

臨済宗妙心寺派乾徳山恵林寺住職。1990年早稲田大学第一文学部卒業、1997年東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究哲学専攻修了。京都・大徳僧堂で修行を積み、臨済宗妙心寺派恵林寺へ。2014年、同寺の住職に就任。NHK総合「SWITCH インタビュー 達人達」での落語家の立川談春師匠との対談が話題に。http://erinji.jp

 

心と身体をトータルで考える時代。失ってしまったことを“種まき”しよう

 
古川周賢さんが住職を務める恵林寺があるのは、山梨県甲州市。1330年に開創、戦国武将・武田信玄の菩提寺として知られる禅寺です。こちらでは毎週土曜日に坐禅会を開催、老若男女さまざまな人が本格的な坐禅を体験しています。古川住職いわく、ここ数年は参加者の数が増え、関心の高まりを実感しているそうです。
 

古川周賢さん

「今年は臨済宗を開いた臨済義玄禅師が亡くなって1150年目の節目に当たります。講演会や展覧会などさまざまな記念行事が行われましたが、その締めくくりとして10月に開催された『鎌倉大坐禅会』には非常に多くの人が参加しました。各種坐禅体験や講演を行っている『東京禅センター』も人気ですし、恵林寺では朝6時から一般の方向けの坐禅会を行っていますが、早朝にもかかわらず、毎週30〜40名の方が参加しています。ここ2年くらいで倍の数になっていますね」
 
こんな“禅ブーム”ともいうべき現象が起きているのは世の中が心身の健康をトータルで考える段階にきているから、というのが古川住職の考えです。
 
「ここ数十年、健康とは『栄養を摂ること』が主だった。それがサプリメントや健康食ブームになり、最近ではトレーニングをする人が増えているでしょう。加えて、現代的な課題としてメンタルヘルスの問題もあります。こうした流れの中で、栄養だけ、運動だけという機能主義ではなく、心身を含めた“全体性”に目が向きはじめているのではないでしょうか」
 
実は古川住職自身、かつてはまさに機能主義に陥っていたと言います。古川住職は、早稲田大学を卒業後、東京大学大学院で哲学を専攻していたという経歴の持ち主。研究に行き詰まりを感じて仏教の門を叩いたのだそうですが、当初、修行したお寺では何もできないことに愕然としたのだそうです。
 

古川周賢さん

 
「禅寺は、基本的に自給自足の生活です。だから畑を耕すんですが、これがちっともうまくいかないんです。たとえばほうれん草は弱アルカリ性の土壌で育つなんてこともわからないし、そもそも体力もなかった。私は岐阜県のベッドタウンで生まれて、ずっと勉強ばかりしていました。そのために、生きるために必要な基本を省いてしまっていたんです。日常に「便利」なものが溢れている今、同じようなことに多くの人が陥っている。だからこそ、坐禅などを通じて、心身を調和させることへの関心が高まっているのではないかと思います」
 
坐禅は、自分自身に向き合う修行。「便利」になった時代の中で、何かを失ってはいないかを考え、それに気づくことも、坐禅の効果のひとつです。機能や効率を重視するあまり“刈り取って”しまったことは、あらためて“種まき”しておいたほうがいい、そう古川住職は教えてくれました。
 

ただの片付け術ではない「断捨離」で、本当に大切なことが見えてくる

坐禅は、「自分自身に向き合う」ということでは、ここ数年ブームとなっている片付け術「断捨離」にも実は似ている、と古川住職は言います。そもそも「断捨離」とは、ヨガの思想から生まれた「必要のないものを断ち、捨てて、執着することから離れる」という考え方。実はこの「執着を捨てる」という考え、禅の考え方と似ているのだそうです。
 
「禅は、基本的に“執着を捨てる”ことを目指して修行を積みます。坐禅をして、自給自足の生活を送って、人生に本当に大事なこととは何かをつかむんです。ところが、修行をすればするほど、自分がいかに執着しているかを思い知らされる。執着を捨てるということを本当にやるのは相当に難しいんです」
 

古川周賢さん

禅の修行により達する、本格的に執着を捨てるという思想や概念は『モノがあってもなくてもいい』という境地の世界なのだそうですが、日常生活の中での「断捨離」は自分自身と向き合うトレーニングとして、決して悪いものではないと古川住職。例えば、これからの大掃除に断捨離の考え方を取り入れれば、「本当に自分に必要かどうかを常に問い直すことで、必要のないものを断ち、捨てて、執着することから離れる」ことで、物と思考の整理に役に立ちますよね。そして、そこからさらに一歩踏み込んだのが「坐禅」なんだそう。坐禅の具体的な方法は次回お伝えしますが、執着を捨て去ることができれば、本当に大切なことが見えてくる、と古川さんは話します。
 
本当に大切なもの…それは一人ひとり違います。だからこそ「本当に大切なものが何か」をこの機会に考えるところから始めてみませんか。断捨離の考え方を取り入れて、モノも心も整理できれば、いつも以上に気持ちの良い新年を迎えられるのではないでしょうか。

 
 
【次週は「坐禅」をテーマに、禅宗の住職・古川周賢さんにお話をうかがいます。どうぞお楽しみに!】

 

【今週更新!きのこで菌活。】

流行しだした、風邪インフルエンザ。禅の考えを取り入れて考えと気持ちを整えたら、身体は「きのこで菌活」の習慣化で整えていきましょう。免疫力を高めるための菌活とは?

今週の「きのこで菌活。」を読む ▶︎