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トレンドコラム
Vol1

世界が注目する「日本食」の魅力とは?

お正月は、おせち料理にお雑煮などを口にする機会が多い時期。この「日本食」が、今、そのヘルシーさから世界中で脚光を浴びています。今週の「きのこで菌活。」コラムでは、健康と美容の両方から身体に働きかける菌活を習慣化するメリットをお届けしていますが、トレンドコラムでお伝えするのは「日本食」の魅力。人気モデルとして知られるミランダ・カーは日本食好きとして知られていますし、マドンナが日本食の専属料理人を抱えていることは有名な話です。さらに2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を控えて日本への注目が高まっている中、2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたのは記憶に新しいところ。実は旗ふり役として登録を推進したのが、村田吉弘さんなんです。和食の第一人者が語る、日本食の概要をご紹介します。

 

—————— 教えてくれたひと ——————

村田 吉弘さん

村田 吉弘 (Yoshihiro Murata)

1951年、京都・祇園の老舗料亭「菊乃井」の長男として生まれる。大学在学中にフランス料理修行のため渡仏したのち、日本料理の道を選び帰国。大学卒業後、名古屋の料亭で修行し、76年に「菊乃井木屋町店」を開店。93年より3代目菊乃井主人となり、これまでにない柔軟な発想の料理を提唱、日本料理の真価を世界に伝える活動にも尽力する。http://kikunoi.jp/kikunoiweb/top

 

日本食は唯一無二!
世界でひとつだけの「旨味」中心の料理

 
今回のインタビューを行ったのは、東京・赤坂の「赤坂 菊乃井」。村田さんは、さっそうと調理服姿で登場してくれました。まずは「和食」と「日本食」の違いを教えてください。
 

村田 吉弘さん

「まず、和食と日本食は違います。たとえば海外では日本人が日本の材料でつくったものを『和食』と呼ぶので、オムライスやラーメンも和食やけど、国内だとそう考えない人が多い。そうすると範疇がどこからどこまでかわからなくなりますからこの場合は『日本食』として話したほうがわかりやすい」
 
和食は、いわば懐石料理や郷土料理など、日本の伝統的な食文化のこと。「日本食」はもう少し範囲が広く、起源は日本ではなくても、日本独自の食文化を形成しているものも含みます。いずれにしても根本は、「日本独自の食文化」であるということ。その最大の特徴は「旨味」と「出汁」にある、と村田さんは言います。
 
「赤ちゃんが母乳を飲まなくなったら大変です。だから、母乳の成分『油脂』と『旨味』と『糖質』は、脳の快感中枢を刺激して食欲をそそるようになっている。基本的にどんな料理も、それらのうちどれかを中心に構成されていて、特に『旨味』成分を中心に料理を構成しているのは日本だけなんです。せやから、旨味を中心に料理を構成していれば、形はどうあれ日本料理と呼べるというわけです」
 
世界中の料理は「油脂」が中心なのに、なぜ日本だけが特別かというと、明治維新までの300年間、鎖国政策で油を輸入できなかったこと、そして仏教国として動物性タンパク質を摂る習慣がなかったことが大きな理由です。
 

村田 吉弘さん

 
「その代わりに独特の発展の仕方をして、旨味成分を野菜とかに添加するという料理法に変わったわけやね。それは京都の御所も同じで、北前船で運ばれてきた昆布が駿河から陸路で運ばれてくる。土佐からは枕崎のカツオが陸路で来る。昆布の旨味成分はグルタミン酸、カツオの旨味成分はイノシン酸、種類の異なる旨味成分を同時に口に入れることで8倍の旨味を得られるようにしたのが『出汁』やね。それをいろんなもんに添加して料理をつくるわけです」
 
ところで、「旨味」が強い食材といえば、忘れてはいけないのが、きのこ。日本食にも欠かせないこの食材については……。
 
「きのこは、多くのグルタミン酸があり、加熱をすることでグアニル酸も増加する旨味の強い食材。グアニル酸とグルタミン酸を相乗させると精進出汁になるわけやな。昆布とカツオだと8倍だけど、昆布ときのこ、中でもシイタケは旨味が12倍になるわけ。日本食にはもちろん欠かせないけど、これだけ旨味が強いから、多くのきのこがどこの国でも食べられていますね」
 

旨味があってヘルシー!
その秘密に世界中から注目が

 
日本料理の基礎は「旨味」にあり。日本独自の特徴だけあって、これまで世界的には「旨味」が意識されること自体があまりなかった、と村田さん。ところが、甘味・辛味・酸味・苦味の4つしかないと思われていたところに、2002年、センセーショナルなできごとが起こります。それは「旨味の受容体」と呼ばれる、舌が旨味を感じるセンサーが発見されたこと。
 

村田 吉弘さん

 
「それまで、旨味は概念にすぎないと言われていたんです。グルタミン酸にしろイノシン酸にしろ、物質としてはあるけれど、舌に旨味を感じる受容体がないやろって。ところがそれが見つかった。世界は大慌てですよ。それは、世界中の人が旨味を感じられるということがわかったということ。たとえばボロネーゼという料理は豚肉とトマトでできていて、つまりイノシン酸とグルタミン酸の相乗効果が起こっている。こういう、母乳の成分『油脂』と『旨味』と『糖質』が揃った食べ物は世界的に愛されるんです。ピザとかハンバーガーとか、トロやサーモンの寿司もそうやね」
 

お寿司

 
旨味自体は万国共通のものだけれど、日本食のさらなる特徴はヘルシーであること。そしてそれこそが、世界で注目を集めている理由のひとつ。
 
「世界的にはノンクリーム、ノンバター、ノーモアオイル、モアヘルシーという方向だから、ヘルシーな日本食に注目が集まっていますね。ユネスコ無形文化遺産に登録される前後で、日本食のレストランは世界でおよそ3万7000軒増加しました。海外では、日本食は盛んなんですよ」
 
ところが、日本では逆に、日本食離れが進行しています。たとえば日本国内の、米の1人当たりの年間消費量は、1997年から2012年までの15年間で約16%減少。料理人のなり手も少なくなってきているそうです。
 

村田 吉弘さん

 
「今、日本の人口は1億2600万人。それが少子高齢化の進行で、50年後には人口8000万人に、いま生産額ベースで60%以上ある食料自給率はこのままいくと19%になると言われている。国際競争力が下がった未来の日本で、食べるものを外国から買えなくなったら、子どもは確実に飢えます。その危機感があるから、僕はいろいろなことをやっとるわけです」
 
文化遺産への登録も、そのための取り組みのひとつ。NPO法人「日本料理アカデミー」をつくり、京都府立大学に和食学部を立ち上げ教育機関を整え、子どもたちへの食育活動なども頻繁に行っています。
 
「決して懐石料理だけの話じゃないんです。地域のお祭りのときに食べられていたような、ずっと日本人の生活に根ざしてきた食文化を継承していかないと。結局、それが日本人に一番適した食文化なんやからね」
 
 
【次週は、日本食の人気の理由・ヘルシーさの秘密に迫ります。村田さんいわく、ポイントは「菌活のチカラ」だそう。どうぞお楽しみに!】

 

【今週更新!きのこで菌活。】

旨味を活かしたヘルシーな食文化「日本食」と一緒に考えておきたい、健康でいることの大切さ。健康状態の8割にも関与しているという「腸」を健康に保つきのこで菌活とは?

今週の「きのこで菌活。」を読む ▶︎