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トレンドコラム
Vol4

和食を、現代の暮らしの中で楽しむ

「菊乃井」3代目主人・村田吉弘さんにお話をうかがうトレンドコラム。第4回目は、いよいよ実践編。テレビの料理番組などでも料理を教えている村田さんが、日本料理を日常に取り入れるコツを教えてくれました。「日本人にとって、日本料理が難しいわけはないでしょう。インド料理のほうがはるかに難しい(笑)」と話す村田さん、その理由とは? また、今週の「きのこで菌活。」コラムでは、きのこの栄養素を余すことなく取り入れる料理をご紹介していますので、こちらも併せてお楽しみくださいね。

 

—————— 教えてくれたひと ——————

村田 吉弘さん

村田 吉弘 (Yoshihiro Murata)

1951年、京都・祇園の老舗料亭「菊乃井」の長男として生まれる。大学在学中にフランス料理修行のため渡仏したのち、日本料理の道を選び帰国。大学卒業後、名古屋の料亭で修行し、76年に「菊乃井木屋町店」を開店。93年より3代目菊乃井主人となり、これまでにない柔軟な発想の料理を提唱、日本料理の真価を世界に伝える活動にも尽力する。http://kikunoi.jp/kikunoiweb/top

 

コツをつかめば手間いらず。日本料理って、実は簡単!

 
「もし日本食が難しいものだったら、洗濯機も掃除機もない時代に、食事の支度なんてできません。共働きで忙しいとか、時間がないってよく言うけれど、昔の人のほうがよっぽど忙しいよ。僕もよく『寝る間もないくらい忙しいでしょう』って言われるけど、ヒマよ、けっこう(笑)」
 

村田 吉弘さん

日本食ブームといわれる中、日本食をつくりたいと思っている人も最近は増えていて、村田さんの数々の著書も、再販されたり、外国で出版されたりしているそうです。その一方で、日本食は調理に手間と時間がかかるというイメージも。ところが、「日本料理が一番簡単」と村田さんは言います
 
日本料理が難しいと思われるのは、簡単なことを難しいように言う人がいるからだと思うんです。たとえば、揚げは油抜きしましょうっていわれているけれど、油が必要だから揚げを入れるわけで、昔の悪い油でつくられたものと今のものは違うから、必ずしも油抜きが必要なわけではない。大根は下湯がきをしましょうって言うけど、下湯がきなんかしたら大根本来の味がなくなってしまう。出汁に調味料入れて、そのまま炊けばいいんです」
 
結局のところ「おいしければええねん」というのが、村田さんの考え。日本料理の最大の特徴である「出汁」にしても、高い昆布やいい鰹節を無理に使う必要はなく、簡単に煮出せるパックや、瓶詰めのものでも大丈夫。
 

出汁

 
「水にいりこと醤油を入れて菜っ葉を炊いたら、それだけでおいしいですよ。野菜はグルタミン酸をもっていて、いりこはイノシン酸が豊富だから、旨味の相乗効果が起こるわけ。別に高いものを使わんでも、日本料理はつくれるんですよ」
 
また、インターネットでレシピを調べ、そのとおりにつくるという人も多いかもしれません。それも、ちょっとしたコツを掴めば、もっと自由自在につくれるようになる、と村田さん。著書やテレビ番組でも、手間のかからない日本食のつくり方を提案しています。そのひとつが「割合」。たとえば甘辛の味付けにしたいときは、みりんと醤油と酒を1:1:1の割合で入れればOK。料理ごとに醤油は何ccで……と計る必要はありません。これなら、誰にでもできそうですね。
 
「昔のお母さん、おばあちゃんのやり方は、ええかげんに醤油をだーっと入れて、砂糖をぴっぴと放り込んで、ぐーっと炊いて、味見て『ちょっと甘いな』って醤油を足してできあがり。それを醤油は何ccで、砂糖は何gでっていちいちやってたら、ものすごい手間がかかりますよ。結局、1000のレシピは誰も覚えられへん。だいたいの感覚さえ掴めば、さっとできるもんなんです
 
料理にルールはないと言っていただいている気がして、ぐっと日本料理が身近になったように思います。

【村田さんが語る、日本料理初心者が覚えておくと良いポイントのまとめ】
● 出汁は、高価な昆布や鰹節を無理に使う必要はなく、簡単に煮出せるパックや、瓶詰めのものから挑戦を。
● 甘辛の味付けにしたいときは「みりん:醤油:酒=1:1:1の割合」と覚えておくと便利。
● 「油揚げは、油抜きしなくてはいけない」「大根は下茹が必要」等、難しく考えずに気軽な気持ちで始めてみましょう。

 
 

豊かな「行事食」が人と人を結んでくれる

 
日常食としてのほか、年中行事や地域のお祭りなどで食べられるものが豊富なのも、日本食の大きな魅力です。2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された際にも、栄養バランスに優れた健康的な食生活であることに加え、年中行事との密接な関わりがあることが大きく評価されました。
 

和食

 

日本の代表的な行事食

1月  正月:おせち料理、雑煮、おとそ
 人日:七草がゆ
2月  節分:福豆、恵方巻き
3月  桃の節句:ちらし寿司、ひなあられ
 彼岸:ぼた餅
4月  花祭り:甘茶
5月  端午の節句:柏餅
6月  夏至:タコ(関西地方)
7月  土用の丑の日:うなぎ
8月  お盆:白玉団子
9月  十五夜:月見団子、栗ごはん
 彼岸:おはぎ
10月  十三夜:月見団子、栗ごはん
11月  七五三:千歳飴
12月  大晦日:年越しそば

 

「大切なのは、季節や年間行事に沿った、その土地ならではの食文化を伝承すること」と話す、村田さん。行事を通して、地域とかかわり、その土地の食文化を育んでいきたいですね。

「僕は小学校で教えることがあって、いろいろな子に話を聞くんですが、お母さんがつくってくれるもんで一番好きなものは? と聞いたら『レトルトのハンバーグがめっちゃおいしい』って言う子がいる。『和食って何?ハンバーグは和食じゃないの?』って言うんですよ。お父さんもお母さんも働いているから、子どもは家でひとりでレトルト食品を食べる、今はそれが普通かもしれません。しかしそれでは、日本食の文化が途絶えてしまいます。だからこそ、家族で一緒に日本食を食べる機会は、これまで以上に大切にしていくべきなんです」
 

村田 吉弘さん

 
最後に、村田さん自身の“おふくろの味”を聞いてみると、冗談めかして「印象深いのはミートローフかな(笑)」との答えが。実は村田さん、かつてはフランス料理を志そうと渡仏した経験があります。そこで他国の食文化と比較することではじめて、日本食のおいしさ、ヘルシーさ、細やかさなど、そのすばらしさに気づいたのだそうです
 
「彼らは牛の肉を食べて乳を飲む民族やから、チーズをつくった。僕らは米の飯を食う民族やから、チーズではなく漬け物やな。全部を日本食にする必要はないけど、せめて自分の国で採れるものを自分の国の調理法で食べてほしいんです。それが日本人にいちばん合った食文化だし、日本の未来を救うことになる、そう思っています」
 
ヘルシーで、文化的で、人と人をつないでくれる。これほど魅力にあふれる「日本食」は、もともと私たちが持っていたものです。だからこそ日本食は、巡り巡って、今こそ求められているのかもしれません。みなさんも、ぜひ2017年は日本食にあらためて注目してみてはいかがですか?
 

 

【今週更新!きのこで菌活。】

四季の旬や文化に併せて楽しみたい「日本食」。日本食でも活躍する“きのこ”の栄養は、冬太り対策や美肌づくり、免疫力アップなどに効果を発揮します。より効果的にきのこの栄養素を摂る方法を、あわせてチェックしておきましょう!

今週の「きのこで菌活。」を読む ▶︎